大阪高等裁判所 昭和27年(ラ)39号 決定 1954年6月04日
抗告人 川端正博
右法定代理人親権者
川端正一
川端美子
主文
原審判を取消す。
抗告人の名正博を昌宏と変更することを許可する。
理由
本件抗告理由は別紙記載の通りである。案ずるに本件記録中の戸籍抄本と川端美子の審訊調書によると抗告人は昭和二十五年○月○日に生れ、当時昌、宏の字はともに当用漢字に無かつたところ抗告人の父は抗告人の名を「昌宏」として出生届を戸籍吏に提出したため受理せられなかつたのでやむを得ず「正博」として届出られたが抗告人の父母は「正博」と言う名は姓名判断学上その兄一男の健康に悪影響を及ぼすと信じ且現に一男は腺病質で気が弱いので心痛して居り、ために日常生活に於ては抗告人の名は昌宏で通つて居り、主要食糧購入通帳にも右の名が記載されている事実が認められ、現に昌、宏の字はともに常用漢字であり、以上の事実は戸籍法第百七条第二項に所謂名の変更について正当な事由ある場合に該当し本件申立を却下した原審判に対する本件抗告はその理由があるので家事審判規則第十九条第二項に則り主文の通り決定する。